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ル、タイ、ソマリア、ブルンディと様々な国々から出稼ぎに来ており国際色豊かといえましょう。因に、現在のクウェイト在留邦人数は200人に満たない規模であり、右国々の居住者数と比較しますと隔絶の感があります。
これほど多くの人々がなぜ遠く愛する故国を離れ、中には妻子や恋人を残し、お酒も飲めないクウェイトくんだりまで出稼ぎに来るのかといえば、まさにその目的はお金稼ぎのためであります。クウェイトは世界の石油埋蔵量の約10%を有する石油収入に恵まれた豊かな国であり、1994年の数字ではクウェイト人の一人当たりのGNPは19,040ドルと、世界でも有数の富裕国と認識されております。因に、OECDの決定によりクウェイトは、1996年1月1日から開発途上国の範疇から卒業しています(注:右決定は今後先進国による政府開発援助の対象国とならないことを意味する)。
それゆえ、日本における状況と同じように、水が高いところから低いところへと自然に流れるごとく、周辺の低賃金国から皆クウェイトヘ職を求め集まって来るわけです。しかしながら、彼等出稼ぎ労働者の賃金・労働条件は決して楽なものではありません。1988年の当国政府調査の統計によると(その後同様の調査結果は公表されていない)、外国人労働者の平均賃金は、業種にもよりますが概ねクウェイト人に比べ2分の1から3分の1となっている反面、労働時間は1.3倍となっています(注:右当国政府発表の数字には信憑性の問題が残る)。
では、あまり統計上の話ばかりしていてもおもしろくないので、小生の見聞を含めた出稼ぎ労働者の実情を少しご紹介したいと思います。
まず、出稼ぎ労働者の就労の種類も、その国籍により階層化しているように見受けられます。例えば、エジプト、レバノン、シリアといったアラブ諸国出身の教育のある労働者の場合は、学校の教師、医師、ホテルや旅行代理店など民間会社での事務職といった、いわゆるホワイト・カラーの労働者として就労している人の割合が他の国籍に比べ相対的に多いようです。フィリピン、インド、スリランカといったアジア出身者はクウェイト人家族のメイド、ホテルのボーイ、飲食店の従業員、小売店の売り子等が多いようです。また、最も厳しいと思われる、夏期には50度近くに達する炎天下での道路の清掃作業、建築現場での作業には、バングラデッシュ人やエジプト人の姿をよく見かけます。
小生は現在、外国人(この場合の外国人は欧米人及び日本人を指す)が多く住むア

 

 

 

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